通信はITエンジニアの必須スキルです。でも、堅苦しい話ばかりしていても面白くないので、今回は小話でもしましょう。
インターネットはソ連とアメリカの冷戦中に生まれた
インターネットが誕生することになったきっかけはソ連とアメリカの冷戦中のことです。冷戦中はお互いにどのくらい技術を高めるかが勝負となっており、技術=勝利となるくらいに技術者が花形の仕事でした。そんな中、大きな事件が起こります。 それは、ソ連の人工衛星スプートニクの打ち上げです。
これはアメリカにとって大きな危機でした。アメリカは今まで、海岸線にレーダーを設置して 爆撃機に対抗するという手段を用いていました(このシステムをSAGEといいます)。これを使えば、海からの攻撃を防ぐことができます。しかしこのシステムには欠陥があります。それは、宇宙からの攻撃です。 つまり、スプートニクの対策が全くできていなかったということです。
アメリカは宇宙からの攻撃に耐える方法を考えなくてはいけません。そこで、新しくアメリカは軍事宇宙技術を結成した組織を作り上げました。その名前が「ARPA」と言われるもので、後にこの組織がインターネットを作り出すのです。
ネットワーク化による安定性
今までは電話回線のように、それぞれの回線が電話局でつなぎ変えられる構造で通信をしていました。しかし、ARPAで考案されたのは、 網のようにすべての通信地が繋がっている構造だったのです。これがいわゆる我々の知っている「ネットワーク」なのです。
ネットワークにする強みとして、「安定性」が保たれることが挙げられます。 電話回線では回線をいちいち繋ぎ替えているため、 このつなぎ変える部分が壊れてしまうと全ての電話が繋がらなくなります。 電話局が心臓となっているせいで、電話回線は故障に弱くなってしまうのです。
さらに電話回線では、同時に多くの人が電話をつなげてしまうと、繋がらないという問題も発生します。被災地で電話がつながりにくいが、ネットは繋がるといった現象が起こるのもこれが原因です。
つまり、回線を安定させるためには、ネットワーク状であることは非常に重要であり、電話に比べて優れたシステムであると言えます。現代人がインターネットで通話をするのも、当然といえば当然の結果とも言えます。
ARPAは、後に通信ネットワーク「ARPANET」を開発します。そして、パケット通信やASCII変換といった高速通信のための方法を開発していくようになります。
また、ARPAの後継がDARPAであり、ルンバを開発したのもこの組織です。軍事技術が生活の役に立つというのは、意外と珍しくないのです。
インターネットの発達によって、遠隔でのやり取りは今までより便利になりました。 軍事技術と聞くと イメージは悪いですが、 使える科学技術はどれも等しく受け入れていくべきなのかもしれませんね。
参考文献:これならわかるネットワーク