今回は流体解析手法の一つである界面追跡法の種類について紹介します。
流体解析(CFD)で二相流を扱う際は、界面を取り扱う必要があります。その際に重要なのが、下記の2点です。
- 界面を鮮明に捉えられるかどうか
- 保存性に優れること
特に重要視する性能から手法を選択することになり、そこに利便性と安定性も加わるため、様々なものを考慮して手法を選択することになります。
ここでは、最も使われている手法であるVOF法に加えて、他の様々な手法についても紹介します。
まずは界面捕獲法と界面追跡法の違いについてです。
界面捕獲法と界面追跡法
1.界面捕獲法
界面捕獲法は、固定された関数$\phi$を使って、$\phi = const$を界面としてみなす方法です。
例えば、VOF法、レベルセット法などが代表的です。
2.界面追跡法
固定された格子上で、界面要素(2次元では線要素、3次元では面要素)の運動を追跡する手法です。
フロントトラッキング法が代表的です。
界面捕獲法の種類
主要な流体解析ソフトウェアに用いられているのが界面捕獲手法であるため、ここでは界面捕獲法について紹介します。
1.VOF法
Volume Of Fluid法の略称で、直訳すると流体の体積存在割合(=体積分率)を評価する手法になります。
固定格子状で、体積分率を変数とする遺留計算を行います。
計算誤差が増えるに連れてVOFの値が拡散し、界面がぼやけてしまうという問題が起きます。その対策として比較的時間刻みやメッシュを細かく取る必要があります。
2.Level Set法
レベルセット法は、界面からの距離を変数として移流計算し、そこから界面の形状を生成します。
レベルセット法では界面を鮮明化するステップがあり、常に鮮明な界面を維持することができます。
3.ALE法
ALE法はArbitrary Lagrangian and Eulerianの略称で、構造格子(物体適合格子)を用いた解析法です。
ラグランジュ法の欠点である格子の大変形を避けるために、流体の速度と独立したメッシュ移動速度を導入します。
これによって、移動界面の変形に対応しつつ,他の領域の格子の大変形を防ぎます。
おわりに
今回は界面を取得するための2種類の分類と、有名な界面計算手法について紹介しました。
最も利用されるのがVOF法で、より鮮明な界面がほしい時にレベルセット法を使い分けるのが一般的です。その他の手法については、特殊な対象を計算する際に利用されます。
まずは基本の2つの手法について理解しておきましょう。