流体解析で二相流を計算する際に、分散相が気泡であれば粒子として模擬することができます。
また、コロイドのように粒子が水に浮いている場合も粒子追跡モデルを活用することができます。
ここでは、粒子を対象に計算する手法について紹介します。
粒子追跡法
気泡やコロイドを粒子で模擬するのが粒子追跡法です。
実際の粒子の動きを動力学として追うことになるので、粒子径のばらつきや空間分布を精度良く計算できます。
しかし一方で、気泡や液的などの分散相が多い際には、メモリや計算量が問題となります。
多流体モデル
気泡や液滴などの分散相の体積率や数密度などの統計量を扱うのが、多流体モデルです。
分散相の総数が莫大であっても計算量に影響がないのが特徴です。
しかし、あくまで統計的な平均を扱っているにすぎないので、粒径や粒子の空間的な偏りがあると精度が低下します。
ここからは粒子と流体の連成解析をする上で、2種類のカップリング手法について説明します。
One-way-coupling
粒子運動は流体の影響を受けますが、その逆の影響(粒子から流体への力)は無視する手法です。
粒子運動が流体に与える影響が小さい対象でないと正しい結果が得られません。また、粒子数も少ない条件でないといけません。
two-way-coupling
two-way-couplingは、流体から粒子、粒子から流体と互いに力を及ぼし合う計算を行う手法です。
例えば、PSI-Cell法(Particle Source in Cell法)では、流体場の格子の中に含まれる粒子の受ける力の反力の合計を計算します。そして反力の合計を、近い格子の運動方程式の体積力として付加します。
一般的に流体粒子連成解析といえばこちらの方であり、計算負荷が高いため複雑な系に対しては計算時間がかかりすぎる傾向があります。
おわりに
今回は粒子を解析する手法について説明しました。
気泡やコロイドを粒子として捉えれば、二相流の一部は粒子として模擬できることになります。
また、界面を扱うよりも粒子を扱うほうが圧倒的に楽なので、流体解析のテクニックとして覚えておくと良いでしょう。