現代では肉体的な苦痛よりも精神的なストレスのほうがつらいと感じる世の中になっています。
実際のところ、日本の39歳以下の死因で最も多いのが自殺であるくらいには、日本のストレス問題は深刻です。
当然、ストレスも大きすぎると病気になります。メンタルの不調は軽視されがちですが、精神疾患も大きな病気です。
今回はそんな精神疾患に対して効果があり、しかも副作用のない認知行動療法を自分なりに簡単化したので、ぜひご活用ください。
認知行動療法とは?
そもそも認知行動療法とは何なのかというと、「認知のゆがみ」と「ストレスへの行動」を変えることによってメンタルを良くしようというものです。
一般的にはクリニックで行われますが、ワークを個人でやっても十分な効果が得られることがわかっています。
クリニックに行くか実際のワークをやるのが一番ですが、メンタルが不調な時はどうしても行動しにくいと思います。そこで簡単化したワークを作成ししました。
軽くお試しとしてやってみていただけると行動に移しやすいと思います。
自分が不調な時に使う用に作成したものなので完ぺきではないですが、触りとしては十分使えると思います。
ストレスに気づく
認知行動療法の初めは「認知」から始まります。なぜかというと、意外と人間は自分のことをわかっていないからです。
まずは自分が感じているストレス源は何かに気づきましょう。それが解消できるのが一番です。
ここでは深刻なものだけではなく、軽いものもすべて吐き出しましょう。考えるのがきつい場合は、一度リラックスできる環境を作って気持ちを落ち着けてから取り組んでください。
ストレス源は例えば下記のような感じです。
- 仕事が思うように進まない
- 周りと比べて劣等感を感じる
- 仕事が続けられるか不安
- 金銭的な余裕が感じられない
- 恋人と性格が合わなくて共感できない
- 趣味の合う友人が少ない
- 親の結婚に関する圧が強い
- 集中力が続かず、思ったように自律できない
- 新しい友人を作るのがうまくいかない
- 睡眠の質が悪い
- 少し体がだるい
- 読みたい本が読めていない
- 勉強が予定より進んでいない
- 理想のインテリア家具が見つからない
- リラックスできる趣味が欲しい
ストレス対処
上記ではお金や仕事などの深刻な問題から、睡眠や趣味などの軽いものまでリストに挙げました。まずはこの中から簡単に対処できるものから手を付けましょう。
例えば、上記でいうと睡眠や読書は対処しやすいでしょう。
- 睡眠のために環境を整える(シーツを変える、アロマでリラックスする)
- 読みたい本のために時間を作る
- リラックスのために、お香やアロマを試す
もし可能であれば、少し難しいものに取り組みましょう。
- 新しい友人を作るためにオンラインコミュニティに入る
- 将来にかかるお金を計算する
深刻なものについては、一旦置いておきましょう。簡単に対応できない場合にこそ認知行動療法の出番です。
コーピングリストをつくる
まずはストレスから一時的に目をそらす方法を得ましょう。いわゆるストレス解消です。
問題から目を逸らしているようですが、一時的にメンタルを安定化させるのは非常に効果的です。
深刻な問題と向き合うには体力がいります。そのため、完全に回復した状態で迎えるのが好ましいです。そのため、まずは自分をいたわるためのストレス解消リストを作りましょう。
コーピングリストは、ストレス解消リストやリラックスリストと言い換えてもらっても大丈夫です。とにかく自分のメンタルが回復するものを大量に思いついてください。
ここで重要なのは、とにかく大量に思いつくことです。趣味でもよいですし、ちょっとした考え方でもよいです。
とにかく大量にリストを作ることで、いざというときに「コーピングリストがあるから大丈夫」と思えるので、普段のメンタルも安定します。意外と重要な部分なので、手間ですがじっくり取り組んでください。
下記に例を挙げておきます。
- 大きな深呼吸
- ボディクリームの香りを楽しむ
- 目を閉じて力を抜く
- 好きな漫画を読みなおす
- アニメを見る
- 感動できるドキュメンタリーを見る
- 他国の文化が知れる動画を見る
- とにかく歩く
- 布団にくるまる
- 甘いスムージーを飲む
- 果物を食べる
- 風呂に入る
- 観葉植物を眺める
- 好きなYouTubeを見る
- 好きな芸能人の動画を見なおす
- 運動・筋トレをする
- 偉人などの名言を見る
- 友人に話す
- 水を飲む
- 読みたかった本を読む
- 今まで習慣化した記録を見なおす
- 読書記録を見直す
- カヴァを飲む
- ほしいものをAmazonで調べる
- ゲームをやる
- 学生時代楽しかった思い出を思い浮かべる
- 理想の生活を思い浮かべる
- 頼れる友人を思い浮かべる
- また話したい昔の友人を思い浮かべる
- いざというときに助けてくれそうな機関を調べる
- 貧乏でも幸せなストーリーを読む
出来れば100個程度出るのが理想です。雑でもよいのでとにかく挙げてみましょう。
スキーマを知る
コーピングリストを使ってメンタルを安定させることができましたか?
ここからは一番根深い「スキーマ」に取り組みましょう。
スキーマとは、認知のゆがみの中で根深いもののことです。過去の経験や周囲の環境によって人は偏った考えを持ちます。
実は、誰しもが偏りを持っていて、完全に平均的な考えの人はいません。
スキーマは必ずしも悪いものではありません。スキーマの中で生活に支障があるものが悪いのです。
ここでは、一般的なスキーマについて理解し、自分の考えの偏りについて見直してみましょう。
他人の考えの偏りを知ることで自分を冷静に見ることができるようになります。自分がどれに当てはまるか考えてみましょう。可能であれば何%当てはまるかを数値化するとより具体化されて自分を理解できるようになります。
- 見捨てられ:見捨てられるのが怖い
- 不信:だれも信用できない
- 愛されない:自分はだれにも愛されない
- 欠陥:他人と違って自分は欠陥品である
- 孤立:自分は独りぼっちである
- 無能:自分は能力がない、他人に頼るしかない
- 心配:将来はわからないのでとにかく準備する
- 失敗:失敗が怖くて大事なことに挑戦できない
- 尊大:自分は優先されるべき
- 服従:誰かに決めてもらわないと選べない
- 承認:誰かに褒めてもらいたい
- 犠牲:誰かのために犠牲になりがち
- べき:完璧主義者
- 抑制:普段から我慢しないと自制できなくなる
- 懲罰:悪いことをすると罰されるべき
- 巻き込まれ:自分では操作できないものですべてを失う
自分に当てはまるものだけを選んで、何%当てはまるか考えましょう。
例えば、べき70%、不信50%、心配90%といった感じです。自分の思考のゆがみに名前を付けることで、「何かわからない不安」を「具体的に対処すべき対象」とみることができます。
スキーマに対応する
ここからはスキーマについて対処していきましょう。
そもそもですが、スキーマは完全に悪ではありません。今までのあなたの人生で、スキーマによって助かってきた機会も多かったはずです。ただ、今苦しんでいる原因がスキーマにあるのであれば一度距離を置くべきです。
下記の質問を一つずつ自分にかけることで、スキーマについて振り返り距離を置けるようになります。回答は難しいですが、元気な時にじっくり一つずつ考えてください。
- 1.自分のスキーマを手放したいと思うのはなぜ?
- 2.スキーマでどんなつらい思いをした・しているか?
- 3.スキーマがあって助かったことは?
- 4.スキーマは将来どんな良い・悪い影響を及ぼすか?
- 5.スキーマの代わりに、どんな考え方を持って生きていくか?
- 6.10年後、20年後はどうなっていたいか?
- 7.生きていてよかったと思える人生はどんな人生か?
- 8.同じスキーマによって苦しんでいる人にどんな声をかけてあげるか?
- 9.自分はどんな声をかけてほしいか?
- 10.自分にやさしくなるにはどう行動・思考すればよいか?
- 11.過去にスキーマが発生したとき、合理的に見ると間違っている点は?
おわりに
今回は、ストレスに対処するために地道ながら効果のある方法について説明しました。
ストレスに気づき、それを簡単に対処できればそれで良いですが、根の深いものは簡単には対処できません。
そんなときはコーピングリストを用いてまず気を楽にしましょう。
頭がいっぱいの状態で無理して解決しようとすると、さらに悪循環にハマるおそれがあります。疲れているときは頭が回っていないのでネガティブ思考になってしまいます。
ストレスを過小評価せずに、大きな問題としてしっかりと気持ちを整えて向き合ってあげる必要があります。
一時的に気にそらすと聞くと悪いことのように感じるかもしれませんが、心を落ち着けてから向き合うのは非常に有効です。
はじめに大物と向き合うのではなく、時間をかけて徐々に治していくようにしましょう。
気持ちが整ってから、自分のスキーマに対処していってください。スキーマと向き合うことで、一生ものの強いメンタルを手に入れられるはずです。
かけた時間の分だけ自分と向き合ったことになります。その時間が長いほど、自分を真に理解できたといっても良いでしょう。ぜひ、焦らず時間をかけて療法を進めましょう。