とんかつ屋で肉を叩いている姿を見たことはありませんか?
肉を叩いて意味があるのでしょうか?下処理として肉を叩くという店はたくさんあります。何となく叩くと肉は柔らかくなりそうな気がしますが、本当にそうなのでしょうか?本記事は、肉を叩くことのメリットとそのメカニズムについて解説します。
肉を叩くことでスジが切れて噛み切りやすくなることが柔らかくなる原因と思われがちです。しかし実際はそうではありません。意外と知らないメカニズムがそこにはあるのです。ということで今回は肉が柔らかくなる真実についてお話をしたいと思います。
ポイントは水
肉は食べると肉汁があふれ出るので、ほとんどが油だと思われがちです。しかし肉に含まれる筋繊維は70から85%が水分であり、この水分が残れば残るほどジューシーさが感じられます。肉を叩くのもこれが理由です。
鶏肉や豚肉の中身のほとんどが水分と言われると意外かもしれません。しかし、ちょっと考えてみてください。人間の体はほとんどが水でできていると聞いたことはありませんか?それは他の動物も同じなのです。
肉を叩くことで筋繊維が壊れて、料理した後の肉の水分が5から15%ほど多くなります。水分が多くなることで、肉が柔らかくなり、肉汁も増えます。つまり、この少しの水分の差が肉をさらにジューシーにしてくれる秘密なのです。
コツは「固い肉を均等に」
家で固い肉を調理するときは、肉を叩いてから料理するといつもより柔らかい肉が食べられます。叩くポイントとしては、薄く均等に平らにすることです。
偏った部分を叩いてしまうと火の通り方がバラバラになってしまい、硬い部分と柔らかい部分ができてしまいす。焦げてしまうとジューシーさは途端に失われるので、火の通りに関しては注意しましょう。
調理方法を変えるだけでも肉がジューシーに!
さっきもお話しした通り、実は肉を柔らかくするポイントは「水分」にあります。水分を多く残す方法として、私は「低温調理」をお勧めします。
低温調理とは、100度以下の温度でゆっくりと加熱をする調理方法です。高温で温めることがないので肉に水分が残りやすくなります。鶏肉などは特に柔らかさがわかりやすいので、まずは炊飯器で鶏肉を調理してみてください。もし興味があれば、低温調理器というものが売っているので買って試してみてください。後悔はしないと思います。
ちなみに低温調理器で肉を料理するときは、下記の手順でできます。朝に仕込んで夜まで放置すれば完成します。簡単でしょ?
1.下味をつける(塩1%)
2.真空パックに入れる
3.58℃ で 8時間
4.完成!(コショウ等で味付け)
youtbeでも動画を出しています。
参考:料理の科学大図鑑 スチュアート・ファリモンド