2022年上期に読んだ33冊の実用書の中から、おすすめを紹介します。ぜひ本探しにお役立てください。
今回は認知行動療法、ファッション、結婚・育児が多めです。
2022年上半期読んで良かった実用書ベスト5+1
無(最高の状態)
パレオさんの書いたCBTに基づいたマインドフルネス本。仏教本とも言える。
「最高の体調」では、価値観の章で新たな自己を見つけることに注目されていたが、本書は仏教的な考え方なので無我の境地を目指す。
まず、当たり前のように存在する自己とはなんなのかである。人間の強みや弱みといったものは固有のもののように見えるが、実際は相対的なものであり環境で大きく変わる。
例えば転校や職場移動では、周りに合わせて自分が別人格になったように感じることも少なくない。
このように、固有の自己など存在しないのだから、自己に関する悩みも全部捨てよう!というのが本書のメインパート。
あとはCBTのスキーマ療法を受けながら、悪法の分離を試みるだけである。
事前に仏教的な知識を得ることで、CBTがめちゃくちゃやりやすくなるという点で、非常に優れた本。メンタル狂ったらまずはこれを読みたいというくらいには超良書。
世界一わかりやすい依存症入門
薬物依存研究をしている著者が、子供にもわかりやすい口調で薬物依存について説明した本。
面白いのは、カフェインやリスカ、頭痛薬などの身近な中毒についてかなり多く語っている点である。作者の意見として、依存症の本質は精神依存であり、他に依存できる人間関係がないことが原因であることが多い。
つまり、「ダメ、絶対」のような強い口調では治らず、患者に寄り添うべきなのである。ゆえにリストカットもかまってちゃんでなく、心の痛みからの逃げなのであるという。
本書で出てくる「依存の反対はシラフでなく、つながりだ」「人生において最悪なのは、辛い目に会うことでなく一人で苦しむことだ」「自立とは依存先を増やすことである」は非常に的を得たパンチラインである。超良本。
自分でできるスキーマ療法ワークブック
自分でメンタルケアをする場合に非常に役に立つ本。認知行動療法におけるスキーマを重点的に抑えている。
まず自分の中でストレス源になっているものを見つける。そして、ストレスが発生するプロセスを具体化する。そのあとはスキーマ治療として、認知のゆがみがどこから来たのかを過去の経験にさかのぼって調べる。
スキーマはパターンがあるため、まずは知っておくだけでも十分役に立つ。それを定量的に自分に当てはめると、謎の不安がかなり和らぐ。
最後は、自分のゆがんだ思考に対して反論を行う。これは自分の中で健全と思われる思考を用意し、自分は第三者的に見ることで冷静に問題に対処できるようになる。
スキーマ療法は他の治療に比べて非常に負荷の高い治療であるが、効果もダントツで高い。くじけないためにも、普段のポジティブ体験の増幅やコーピングリスト(楽しいことリスト)を用意しておくことが重要。超良本。
よいこの君主論
クラス統一の様子を見ながら君主論について学ぶ本。
まず、言い回しが死ぬほど面白い。「確かに、小学生男子なんて私たち女子からすれば蛮族にしか見えないわ。同じ人間と識別することすら困難よ。女子と男子では全くの異民族なのね」といったセンスのある言い回しを楽しむエンタメ。
君主論としては、「極悪非道で良いので、上手く統一するのが大事」という内容。
例えば、平民は変化を嫌うため、改革は力ずくで進めるしかない。極悪非道は一度に行い、小出しにすると恨みを買う。逆に、平民は恩をすぐ忘れるため、褒美は小出しにしろ。ケチで良いので部下には力をつけさすな。といった教えがある。
どれも失敗パターンの逆を唱えているので、端から見ると極悪非道だが一理あるのが面白い。
「家族の幸せ」の経済学
データをもとに「真にかけるべき労力」について考えた本。
まず、現代では未婚率が高く、50歳時点で男の20%、女の10%が未婚である。未婚という選択肢を考えた上で結婚を決めれば良い。
母乳による明確な良い影響は実はわかっていない。収入や家庭環境の影響と相関するからである。現状ではアトピーは減るが、IQやアレルギーなどには効果がないというのが主流である。
また、育休はメリットが大きいが、生後一年以内に子供が親と過ごすことによるメリットは確認されてない。育休による家庭円満のほうが大事であり、子供はむしろ幼稚園などで社会性を学んだほうが成功する。
結局の所、親にできるのは安全な家庭を作ることとコミュニティに放ってやることしかない。いかに倫理観に囚われずに、ストレスを貯めずに子供に寄り添ってやれる仕組みを作るかを意識すべきである。良本。
(おまけ)「イノベーター」で読むアパレル史
ファッションの歴史を読むのに最適な本。
ポール・ポワレのコルセット開放に始まり、WWI後のシャネルによる女性の社会進出とスキャパレリのシュールレアリスムの競争が大きく世の中を変える。WWⅡ後はディオールによるニュールックで豪盛になりそこから大きく多様化する。
また、著者のモードに関する考え方も良い。「ファッションブランドは名前にこそ本質がある」「創業者が後継者に与えることのできるギフトは、レガシーを創業者への忖度なく使える自由であることは間違いない」はまさに本質。良本。
その他読んだ本リスト
医師がすすめる少食ライフ
消化器内科医師の書いた本。断食時間の確保、食物繊維の増加、たんぱく質減、グルテンフリーなどについて書かれた本。
少し過激なミスリード(外に100時間置いた卵は危ないので、腸内に長く居る食品も危ない!的な内容)も感じるが、概ね主流な考え方である。特に、便秘の改善は理論的にも体感的にも重要と感じた。
脳を鍛えるには運動しかない
タイトル通り、運動めっちゃいいぞ!という本。
まず、0時間目に体育を入れることで、トップの学力になった学校が紹介される。ここで重要なのは、運動能力ではなく、「いかに心肺機能に負荷をかけたか」を測って運動させていることである。ここでタイトル回収である。
野菜や運動は体に良いが、この原因を抗酸化作用によるものだと勘違いされがちである。実際は、適度なストレスにより健康効果が得られている。
一方で、慢性ストレスは体に悪い。慢性ストレスを避けてコントローラブルなストレスを体に与えるというのが健康の基本となる。
ここからは運動の良さを説明する。
まず、ストレス免疫が上がる。運動は全ての行動活性療法の中で、トップのストレス解消効果がある。
また、うつや不安を和らげる。ここで、何も考えられないくらい高負荷な運動をするのがポイントである。
運動は依存症を和らげる。依存症はドーパミンがバグる病気だが、運動は健康かつドーパミンを出すので、依存症の代替になりうる。
また、加齢も和らげる。認知能力を維持することができる。ちなみにPMSにも効果があるので、妊婦も運動すべき。
ということで、運動しない理由がないよねーという本。運動量は、やればやるほどよいというのが著者の意見である。
非常に運動のやる気の出る良い本。思ったより広範囲のデータがあってびっくりした。
search inside yourself
グーグルで瞑想を推進した人の本。マインドフルネスの本としては王道。
エピソードや語り口のせいで読みにくいが、トレーニングの流れが非常に良い。
まずは呼吸に集中する瞑想。次に、マインドフルネスを生活に適用し、会話や行動に集中する。そして、感情と行動を切り離す。ここまでがマインドフルネス。
マインドフルネスに慣れたら、自分の価値観を定めて行動を変える。最後に、他者に対して愛情と慈悲を持って接する。このあたりは認知行動療法に近い。
難しいことから始めて少しずつ改善するステップはとても良い構成だった。ただ、長くて全体像が掴みにくいのでもったいない印象。
セルフケアの道具箱
伊藤絵美のCBT本。本人が忙しいときに書いたのもあって、非常にシンプルで読みやすい。
ストレスに気づく→コーピングリストをつくる→スキーマを知る→スキーマに対処する というシンプルな構造で具体的なワークもあるので、取り組みやすい。手元においておくならこの一冊が一番良い。
つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた
境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害に悩む人が、スキーマ療法をやっていく過程を書いた本。
境界性パーソナリティ障害は一番治療の難しいものであり、治療により治っていく姿を見るだけでも元気が出る。
初めは横柄だった人が自分の過去と向き合い、「バカは死んで仕方がない」のような家庭内の異常に向き合って更生していく。
「ぼくはこんなにつらかったんですね。自分がつらかったということすら、僕は知らなかったんだ」の言葉がスキーマ療法の核心をついている。良本。
シェイム(恥)
誰に批判されたわけでもないが、何となく居心地の悪さを感じる「恥」について書いた本。これも非常に薄くて読みやすい。
人は恥の感情がわいたときに、無意識に拒否反応をする。それが適切でないと、人間関係や生活に支障をきたす。
スキーマ治療と同様に、自分の無意識の反応に気づいて少しずつ変えるしかない。
心の体質改善 スキーマ療法 自習ガイド
非常に薄いスキーマ療法のための本。これだけで役に立つとまではいかないが、メンタルが疲弊しているときの入り口としては、このくらい薄いほうがありがたい。
スキーマ(昔からの思い込みによる偏見)の種類が一通り載っているので、まずは自分の偏りを知るために使うのが良し。
治療は別途、同じ著者のワークブックを使うのが良い。
マインドフルネス&スキーマ療法 book2
伊藤絵美のCBT本。マミコさんという性虐待などの暗い過去のある女性が、CBTを進めていく。
まずはコーピングリストで安心を得て、スキーマをラベリングし、日常の思考の歪みを治していく。マミコさんの過去が激しすぎてそのまま参考にはしにくいが、治療の流れを理解するのに役に立つ。
本当の私よこんにちは
FAPと呼ばれる心理療法の本。研究背景がほとんどないので信頼性は低い。
自分では気づかないココロの盲点
バイアスの辞書。個人的に、特に無意識下でやってると感じたのはルサンチマン。
その悩み、エピクテトスならこう言うね。
ストア派で自己啓発の祖であるエピクテトスに関する入門書。
エピクテトスの言葉の中心にあるのは「権内にあるものと権外にあるものを区別する」、つまりコントロール出来るものに目を向けなさいというものである。ニーバーの祈りとほぼ同じである。
エピクテトスの考え方は、ストア派の「自然と一致して生きる」というモットーに従っている。ストア派は論理的に思考し(論理学)、自然の理に従い(自然学)、よく生きる(倫理学)というものである。
ソクラテスの「善く生きる」もそうだが、現状を受け入れながらその中で自分が何をやるかが重要である。コントロール出来ないものを悩む必要はない。個人の範囲内で倫理に従って生きることこそが美しいのである。
貧乏人の経済学
貧困から抜け出せない理由について、徹底的に調査した本。アフリカが主な調査対象。
まず、貧乏人は正しい情報を知らない。そのため、予防接種やHIVの予防、投票等の重要性を知らずに後で大きな被害を受けることになる。
次に、貧乏人は判断を自分で下さないといけない。飲める水も安全な銀行も全て自分で判断する必要がある。そのため、判断や心配による認知負荷が大きく、先送りで悪化することも多々ある。
最後に、貧乏人には不利な市場がある。口座は簡単に開けないし、融資も受けにくく、保険もかけにくい。そのため、リスクと常に隣り合わせで生きる必要がある。
効率的な行動は本人の意思で遮られることもある。必需品の代わりに贅沢品を買って、短期的な満足を満たそうとする。
先進国からの援助として一番有効なのは、マラリア蚊対策の蚊帳配りなどの、病気を防止する方法である。無料で配っても、二枚目購入率は上がることがわかっている。多少の予定外な使用もあるが、健康投資を根付かせていくのが最も重要な援助なのである。
多様性の科学
タイトルの通り、いかに多様性が大事かという本。
「サピエンス全史」でもあるように、人間は集合知により繁栄してきた。多くの人の知識の共有こそが繁栄のあるべき道である。
多様性は当然企業にもメリットがある。判断とは、全ての案から不正解を取り除く作業である。その場合、多くの視点がないと不正解に気付けない。よって多様性が求められる。
設計でも多様性への柔軟さは大事である。データだけを見ると平均で設計したくなるが、すべて平均の人などいない。柔軟さで多くの人の満足を得られる。
歪んだ正義ー「普通の人」がなぜ過激化するのか
ジャーナリストがパレスチナの調査の上、過激化の經緯について体系化した本。
過激化は5つのステップで成り立つ。
1つ目は私的な苦悩から被害者意識が生まれ、政治への怒りを持つことである。
そして2つ目のステップで物語を作る。被害を受けた人の発信に共感し、自分と重ね合わせる。さらに、行動したものをヒーローとする。
3つ目のステップで過激化する。善悪の二元論で考え、相手を「人間以下」とすることで非人道的な行動も厭わなくなる。
4つ目はプロパガンダである。自分はただの犯罪者ではないことを発信し、正当性を広げて仲間を増やす。
最後にトリガーが引かれる。身内の死やキャリアの失敗で、攻撃性が上がり、思想が偏っていく。孤独や死への恐怖が、命を惜しまない攻撃につながる。
中東だけにとどまらず、コロナ禍の自粛警察なども同じ行動をたどる。過激化を悪と捉えて軽視するのではなく、誰にでも起こりうる現象として理解することが大事である。
勝間式ネオ・ライフハック100-圧倒的に自由で快適な未来が手に入る!-
仕事を頑張るよりも家事を効率化するほうが幸福度高いぞ!という信念のもと書かれた家事マニュアル。
家事もそうだが、一番大事なこととして「幸せに感じないことにはとにかく時間を使わない」ことがある。服選びも猫のトイレ掃除も、やらない方法を探す。ネットサーフィンもそうである。
そして、本当にやりたい仕事や友人との付き合いに時間を使う。これを徹底的にやることで、後悔のない人生となる。
NEW TYPE ニュータイプの時代
「便利」より「意味」が大事だ!新しいことにチャレンジしてイノベーションを起こすぜ!という本。「なぜエリートは美意識〜」の著者が書いた本。
前回と同様、リベラルアーツを学べば視野が広がってニーズが掴めるという内容。既存の問題解決を批判しているが、結局の所は真の問題に対してアプローチするかどうかだけの話で問題解決には変わりはない。以前とアプローチが違うとイノベーションと呼ばれるだけだし、そもそも客がニーズを正確に出してくれる時代なんて今までなかった。
「成功するアーティストの秘訣はなんですか?」「しかるべき時にしかるべき場所にいる、ということだろうね」アンディー・ウォーホル の言葉がわかりやすい。結局の所、成功は運である。どれだけ種をまけるかと、出た芽が枯れるまで育てる両方の取り組みが必要なのである。
ぜんぶ、すてれば
寺田倉庫の社長の自伝。自分を貫きながらも、泥臭いことを率先してやる昔ながらの社長って感じ。二十代から寄付をし続けているのは驚いた。
なんでも図解
図をかけるようになるとわかりやすく伝えられるぞ!という本。基本的なアイコンや因果関係の書き方が学べる。地味にためになる。
西洋美術史入門
絵画には注文者の意図があり、意味を調べることで西洋美術史が理解できる!という本。
例えば言語の理解できる人が少なかった時代には、抽象概念を用いて宗教の教えを理解させる必要があった。他にも、貴族の家に飾る絵画やその時代を風刺した作品にも意味が込められている。それらを一つ一つ理解していく本。
人はなぜ服を着るのか
ファッション史について、whyを徹底的に行った本。内容は難しめ。
着飾りと自己表現、肌感覚へのニーズが入り混じり変化していっている服の歴史を追う。
一番わかり易いのは古いファッションである。健康を損なうのにコルセットを続け、WW1で金属不足でやっと習慣が消えた。ただ、現代でもピアスなどで体を傷つける行為は残り、それは自己表現でありファッションである。
「黒の衝撃」「シャネル」も女性らしさからの脱却であり、華やかな着飾りから自分らしさと実用性への移行が行われている。
さらに、現代では実用性の高いスポーティなファッションが注目され、複雑性の増した世の中を見る上で歴史を学ぶことの大事さがわかる本。
VOGUE FATION 100年史
VOGUEの内容を元に、歴史の振り返りとデザイナーについて書かれた本。
はるか昔、コルセットは健康コルセット(皮肉ではない)と呼ばれ30度近く腰を大きく歪曲させていた。さらに、小さい靴を履き、ウィッグで大きな帽子を支えており、合法的な拷問となっていた。
100 IDEAS THAT CHANGED FASHION ファッションを変えた100のアイデア
大きく社会を変えたテーマについて語る本。「自分で服を着る」から「カルバン・クライン」までなんでもあり。
例えば白のウェディングドレスはヴィクトリア女王が着て流行ったもので、当時は使い回せるドレスに装飾まみれが普通だったが、白のドレスに花飾りという無垢さの演出が大流行して今に至る。
TシャツもWWⅡ後の流行でそれまでは下着であったものが今では普通に着られている。
転換点を知ることで、今が当たり前ではなく過渡期であることに気付ける本。
ベスト・パートナーになるために 男は火星から女は金星からやってきた
男女のコミュニケーションの違いについて書いた本。
男は孤独で問題解決する一方で、女は話しながら自分の中で落とし所を探るため、うまくいかないよねーという本。心理学者の本でベストセラーだが引用元はないので、一般的にはこう思われているよなー程度でとどめておくと良い。
2人が「最高のチーム」になるワーキングカップルの人生戦略
キャリアの維持は大事だから、上手く分担と外注しようねという本。
例えば、家事をポイント化して見える化し、大変なものはルール化や外注で対応する。また、子育てでキャリアを諦める人が多いが、それよりは託児所を活用して赤字でもキャリアを維持するような投資をしたほうが、精神的にも長期の金銭的にも良い。
お金の問題は片方が管理せず、二人で共有する。子育てはお金がかかるが、出産に伴うお金として「一時金」「休業給付金」「出産手当金」「子ども手当」「乳幼児医療費助成」などがある。
子育ては心理学でラクになる
DaiGo本。親のウィルパワーを上げれば子供と上手く接することができるよという本。
子供へのオススメ声がけとして「どうしたの?」「なぜ?」「どうする?」「わかるよ」「そうだね」「すごいね」「ありがとう」「ごめんなさい」が挙げられている。最後は礼儀だが、つまりこれは自分で決定することによる自己肯定感と共感力を高めるのを子供のペースで進めている。
乳児の延長で見ると子供は何もできないように見えるが、自我は少しずつ成長する。それを急がずに見てやるのが親の役目なのである。何かをさせたいときも、興味をもたせたら自分で選ばせる。そして説明させることで情報を整理する機会を与え、緩やかな後押しをするのである。
子どもを持ったら知っておきたいお金の話
FPが書いた本。子供の学費はどれか私立に行くだけで80万円程度増加する。大学は国公立で250万円、私立で500万円であり、すべて国公立だと500万円で収まる。
習い事をやる場合、自治体を活用すると良い。HPや区の水泳教室、少年団などがある。
小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て
遺伝子でほとんど決まるんだから、無理に他の人に合わせないで可能な範囲で頑張ろうという本。非道に見えるが、それはつまり、無理せずに子供の発達段階に合わせて育てようねという本質に行き着く。
ヒラリー・クリントンの言葉で「子育てはルーティンとノールーティンに分けられる」つまりオムツ、食事、見守りはルーティンであり外注しても良い。一方で、読み聞かせやコミュニケーションの時間は代替出来ないので親が元気で触れ合うのである。(ちなみによく聞くが、3歳までの乳児を家庭で育てたほうが良いという根拠はない。)
「共感力」「自己肯定感」「意思決定力」が子供を幸せに導く。共感は日常的にできますね。自己肯定感は比較せずに褒め、親も不安やストレスを抱えないことが大事です。意思決定力は選ばせてあげたり、意見を聞いてあげることで育ちます。途中で辞めても良いので機会を与えてあげましょう。
おわりに
今回は認知行動療法、ファッション、結婚・育児が多めでした。
それぞれのジャンルからベストを選別するために、結局6冊紹介となりましたが、どれも超良書でした。
認知行動療法は結構入門書が多いですが、やはりパレオさんの無は入門として最適なのでぜひここから読んでいただきたいです。特に引用が優れているので文章として気持ちがよい。
認知行動療法では、スキーマと呼ばれる無意識下の思い込みの修正が重要です。ただ、これは全て自分や過去にとらわれていることから発生しており、仏教の無我で解消もできるわけです。その点でいえば、仏教と認知行動療法は非常に相性がよく、一緒に勉強するとシナジーがあります。
ファッションは統括的な説明がうまくなされているのがなく、「イノベーターで読む~」が一番良かったです。これ読んでおけば大体歴史はわかります。
ファッションを知れば、女性の社会進出もわかるし、ブランドがなぜ高いかもわかるので結構応用が利く知識となります。映画「バックトゥーザフューチャー」とかもファッションの歴史を知るとさらに面白くなります。
結婚・育児も良い本があまりないので、「家族の幸せ~」を選びました。育児は統計データに基づく議論がされていない本が多く、良い本を探すのが難しいです。
その中でも本書は、データをもとに母乳子育てや乳児は親が寄り添うなどを完全に否定しています。現状のデータに基づくセオリーでは、5割が遺伝子、4割が環境、1割が親の影響というのが一般的みたいです。
そのため、親は自分のキャリアを維持しながらネグレクトや虐待、高ストレス環境をいかに避けるかというのが課題となってくるというわけです。特別なことをせず、当たり前を徹底的にやるというのが子育ての本質なわけですね。
2021年読んでよかった本はこちら。