2021年上期に読んだ25冊の実用書の中から、おすすめを紹介します。ぜひ本探しにお役立てください。
上半期に読んでよかった本BEST5
独学大全-絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法-
ブロガー読書猿が書いた「独学」のノウハウをまとめた本。SNSでは「独学大全」を読める時点で十分な独学能力がある、と言われたりしているが、実は内容は結構読みやすい。
本書では、独学にあたって、とにかく「続けること」を重要視しており、主にモチベーション向上について、その後調べ物のやりかた、勉強のやりかたについて書かれている。
2ミニッツスターターや1/100プランニングなど、とにかくスモールステップで始めることの重要性や、「なぜ自分は勉強するのか?」の理由を探ることでモチベーションを上げるテクニックが紹介される。
個人的に面白いと思ったのが、記録を取るだけでもモチベーションは上がるということ。ダイエットだと一般的だが、自分がどのくらい勉強したかログが残るだけでもやる気が出る。「記録を取る者は向上する」とのこと。
また、挫折を避けるために「焦れるくらいの薄さで重ねる」ことを推奨している。音読や写経が意外と効果があるのは、挫折を防げるからだと思われる。
「より長く学ぶことは、それだけ長く自分の頭の悪さに直面し続けること」の一説は独学の真理をついている。今後、一生独学を進めていくことを決めた人におすすめの超良書。
AI分析でわかったトップ5%社員の習慣
トップ社員は一貫して同じ習慣を持っている。例えば、メモをとる、感謝を伝える、読書をする等である。これはすでに言い古された内容だと思うが、意外と出来ていない人が多い。それは効果がわからないからである。
本書を読んで驚くのは、トップ社員のほとんどがが上記習慣を続けていることである。一般社員と比べると数倍の差がある。
他にも面白いこととして、トップ社員はスペシャリストよりも多様なスキルを好む、資料が短くて文字も少ない、等は非常に参考になる。
ハマるしかけ-使われつづけるサービスを生み出す<心理学>×<デザイン>の新ルール-
人が習慣的にサービスを使うようになるまでの過程を理論的にまとめた本。基本的にSNSなどのソフトウェアサービスを対象としている。
本書で有名になった「フックモデル」が非常にわかりやすい。まず広告や口コミなどのきっかけがあり人はサービスを知る。そして使いやすさとメリットから実際に触れる。その後に報酬として満足感や承認があり、習慣となる。最後に、費やした時間と費用がもったいなくなり、辞められなくなる。
この一連の流れこそが「SNS中毒」である。ただし、理論を知るとわかるのが、SNSは孤独感を埋めているから中毒になるということである。中毒性のあるサービスは何かしらの鎮痛剤の役割をしており、使用者の痛みを知ることが最良のサービスを作ることに繋がる。例も理論もわかりやすくて、良書。
週40時間の自由をつくる超時間術
メンタリストdaigoが時間効率化について書いた本。内容で重要な点は2つ。
1つ目は、焦りを無くして冷静に対処すること。冷静に対処することで、本来の生産性を取り戻す事ができるようになる。
2つ目は、時間汚染を避けること。特に、やりたい事が2つ以上あって迷いが生まれる「コンフリクト」を避けるのが重要である。つまり、いちいち判断しなくても行動しやすい環境を作ることで、生産性が高まるのである。
ただ、コンフリクトを避けるためには、しっかり時間をかけて自分の価値観に向き合う必要があると感じた。まずやるべきなのは自己分析。
コミュ症でも5分で増やせる超人脈術
人脈作りの基本を知ることで「嫌われることが怖くなくなること」を目指した本。
相手の話を聞く・自己開示・ギバーになる・友人を目指す・分野の違う仲間を作るなど、耳タコだが確実に効果のある方法が紹介されている。
人脈で金儲けは難しい、それよりも本当に大事な友人を作る感覚で人脈作りをすると、結果的に幸福もお金も得られるのである。
ただ、わかっててもできない場合もある。そんな時は、定番の雑談を忘れて、核となる会話を心掛けるようにしよう。嫌われても人脈なんかまた作ればよいのだから。
その他読んだ本リスト
運は操れる
運気の高め方を科学的に解説した本。
「出世の7割は予想外の出来事で起こる」と言われているように、運は非常に重要である。これを何とかコントロールしようとするのが本書である。
施行回数を増やせば当然成功確率は上がる。しかし、行動力を高めるには健全なメンタルが欠かせない、ということで大半はリラックス方法と行動力の高め方について書かれている。
定番としては、瞑想・運動。意外なのは、「失敗ノートをとる」というものである。失敗しても何とかなる、という気持ちを持つことで、ストレスを和らげつつ、新しい取り組みへのモチベーションを高める。
「運を高める」なんて、知ってしまえばなんてことはないが、知らないといつまでもドツボにハマることなので、気をつけたいところ。
人生は20代で決まる-仕事・恋愛・将来設計-
大学でカウンセリングを行ってきた著者が、20代に向けてアドバイスした本。
海外なので若干日本とは違うかもしれないが、20代で陥る最も恐ろしい罠は「自分の可能性を過信しすぎて、唯一無二の個性を探すこと」である。
その結果、凡庸な選択肢を恐れて、何もできなくなるのである。私も自己啓発に目覚めた時は、色んな選択肢の中から何も選べずに、結局何もしない時間が多かった気がする。
世間の薄いビジネス書を読み漁っている人には、グサッと刺さる本。くっ、、、
勝間式 超ロジカル家事
とにかくライフハックを詰め込んだ本。
低温調理や時短家電、ミニマリズムなどの「楽に生きるライフハック」を総括している。具体的には、ホットクックやヘルシオを使って調理したり、使いやすい服をヘビロテするなどの内容が書かれている。
面白かった点は2つ。元々家事代行を頼んでいたけど、結局自分でやらないと解決しないと気づいたこと。そして、料理の味は損ないたくないという強い意思を感じたこと。
特に味を気にしてるのは、主婦の支持が高そう。結構現代では当たり前と思う事を書いてるんだけど、一人暮らし短いとわからないことなので、はじめて一人暮らしする人は読んどいたほうが良いかも。
勝間式超コントロール思考
辛い状況に慣れるよりも、変えられる部分を変えていこうよ、という内容の本。
その効果を象徴しているのが、著者の遊びの時間の長さである。「遊びの合間に仕事をする」と書かれているほどに、色々な娯楽を楽しんでいる。例えば、ゴルフ、VR、卓球、クルージングなど様々。
なぜそんな時間があるのかというと、効率化のおかげである。通勤をなくしたり、調理家電を使ったり、音声入力で仕事したりといった工夫の積み重ねで成り立っている。
今までの失敗の数も多いだろうが、毎日の工夫の成果が現れていることを感じられる内容。コツコツ頑張るモチベーションが湧く本。
勝間式超ロジカル料理
手間を掛けずに、いかに健康で、そこそこ美味しい料理を作るか、に重点を置いた本。
いつもの調理家電の話とともに、本書ではシュガーフリーも押し出している。他にも、シチューやカレーをルーなしで作る方法など、健康を重点においた料理本。蒸し料理は試してみたい。
専業主婦は2億円損をする
タイトルの通り、専業主婦は本来貰えるはずだった生涯年収を失うという本。
煽りタイトルだが、実際に専業主婦に対する風当たりも強く、政府補助も減っていることから、専業主婦はオワコンなのは間違いない。
最終的に、唯一の選択肢としてベビーシッター等の託児を提案している。しかし、日本のベビーシッター補助はイマイチな現状なので、正直日本で十分な資金準備をせずに育児をしようとすると八方塞がりになると思う。
勝ち続ける意志力-世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」
プロゲーマーとして最も有名な梅原大吾の著書。You Tubeに本書の講演もあるので、まずはそっちを見たほうが良い。
本書は「勝つ」ではなく「勝ち続ける」について書かれている。つまり継続のコツに関する内容である。
「流行り方法では勝たない」「小手先には頼らない」等、昔から梅原が勝ち続けてきたのには、真面目な努力が核にある。しかし、梅原は練習時間を重要視したせいで、精神的に病んでしまう。
そして一度ゲームから離れ、麻雀や介護士を経て、結果ゲームに帰ってきた梅原は1つのルールを決める。それが「一日1つ強くなる」である。これだけを考えることで、時間にとらわれず、前に進むことができるようになったという。
「達成感」は今のモチベーション研究でも証明されているし、他の内容もかなり研究とよく一致した「正しい努力」になっていると思う。
GACKTの勝ち方
ガクトのこれまでの生き方を、名言とともに紹介する本。精神論や思想が強く、エピソードは思ったより少ない。
若い頃から、アーティスト活動と資金調達を完全に分けて考えているのが興味深い。水商売をやってた経験から、そういう考えになったのかもしれない。
THE POWER OF TWO
偉大な成功は二人のペアによって成し遂げられてきた、というのを例とともに解説する本。
ポール・マッカートニーとジョン・レノン、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、ウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガーなど、偉大な成功者は強力な相棒がいた。それは仲良しなだけでなく、時にはぶつかり、ライバルとしても二人を高めあっている。そして、表舞台と舞台裏のように、それぞれの長所を活かせる場所を手分けする。
相棒がいることは重要だが、スティーブ2人のように、これらは偶然に第三者が繋げてくれたからであることも多い。今相棒がいなくとも問題はない、いつか友人が繋げてくれることを待てばよい。
ほとんどが偉人伝のようなもので、各章に少しだけ研究結果とともに解説がある。ただ、解説はおまけ程度で、メインは偉人伝であり、ストーリーを楽しむ本と思ったほうが良い。
働く大人のための「学び」の教科書
勉強を効率よくするための方法をまとめた本。
「Learn better」や「使える脳の鍛え方」という超良書が世の中にあるので、個人的にはそっちをオススメする。
内容としては、勉強系の本でよくある内容をまとめた感じである。短時間で読みやすくまとまってるのは良い。科学的裏付けがあると思われるが、実験等の説明がないので裏付けは正直わからず。
マンガでわかるモンテッソーリ教育×ハーバード式
「子供は自由にしてあげるのが一番だよ」という内容を終始伝える本。
まずは、「子供も何か考えがあって行動している」ということを理解する必要がある。問題は常識や表現力の乏しさであり、それを助けてあげれば親子関係は良好になる。
ただ、時間・身体的な余裕を持って初めて心の余裕が生まれるので、環境はしっかり整えておきたいところである。
やなせたかし 明日を開く言葉
アンパンマン作者の経歴と考えについて書かれた本。基本的には、人生哲学や正義についての考えが書かれている。
「世の中のヒーローは悪を懲らしめるだけで、誰も助けていないし、自分も傷つかない」そして、「アンパンマンは、 自分の顔をちぎって人に食べさせる。 本人も傷つくんだけれど、それによって人を助ける。 そういう捨て身、献身の心なくしては 正義は行えない。」という言葉がやなせたかしの正義を表している。
命がけで自己犠牲こそが真のヒーローなのだと心から感じさせられる内容。とにかく弱きを救うという考えが詰まっている。
あしたしぬかもよ
認知行動療法を優しい言葉で表して、質問形式で自分の価値観を探っていく本。
テーマは「メメント・モリ(死を忘れるな)」であり、明日死ぬなら何をするか、最高に幸せとはどんな状況か、等を問いかける。
普段は、嫌な上司や生きづらい社会に目が向きがちである。しかし、いざ振り返ると、そんなものは大事ではない。本当に大事にしたいものは大切な友人や生き方であることに気づく。サムい部分も多いが、価値観を知るための入門書としてはあり。
人生の短さについて セネカ
哲学者セネカの思想について書かれた本。一般的には本書は「人生は短し」という一言で内容をまとめられがちだが、実は三章構成である。
人生の時間の過ごし方、不運への立ち向かい方、心の持ち方の構成である。はじめの2つは、「人生は短い、辛くて嫌いな事に時間をかけている場合ではない」という内容。
しかし、後半の心の持ち方も非常に示唆に富んでいる。「物事の価値を見た目でなく、内実で評価しよう」「たくさんの客を招かず食事する、実用的な服を手に入れる、狭い家に住む」という、見栄をはらずに自分らしく生きていくことの大事さが語られている。
また、「学問に出費するのは良いことだ。しかし、限度をわきまえている場合に限る」という現代の情報商材にも通じる文面もある。
全体的には、周りを見過ぎず、自分と向き合い、自分らしく生きることの大事さを見直す一冊である。
NYの人気セラピストが教える自分で心を手当てする方法
カウンセラーが教えるメンタル改善テクニック。
まずは自己否定をやめるために、思考を書き出す。そして、それに対する別の視点や反論を考えて、ネガティブな思い込みを脱却する。
そして、自信を取り戻すために、自分の良いところや大事にしてるものに目を向ける。「自分らしい人生」を作ることで、他人と比較しない性格を作っていく。
結局は、他人との比較をなくせばネガティブ思考は大幅に減る。そのためには一つづつステップを踏む必要がある。
メンタルが強い人がやめた13の習慣
サイコセラピストが書いたメンタル改善の基本書。
メンタルを支えるためには、「思考」「行動」「感情」が重要である。つまり、世間のイメージである「打たれ強い」「無感情」といったイメージは全くの間違い。
本当の強さは、価値観に基づいた行動や習慣的な考えから生まれる。まずは認知行動療法でネガティブ思考やネガティブ行動を取り除く必要があり、それを止めようというのが本書の内容。
本書で扱われる「人の成功に嫉妬しない」「一度の失敗でくじけない」「孤独を恐れない」などは一見ネガティブと関係なさそうに見えるが、行動力を上げることはメンタル改善につながる。ポジティブな人が行動できるのではない、行動するから成功体験が生まれ、ポジティブになるのである。
キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編
中国嫁日記の作者が書いたお金に関する本。
一般人視点も持ちつつ会話形式で進むので、わかりやすい。ただ、結論はいつも「みんなお金を使え」となるのはあまり面白みがない。
日本の問題は、デフレだけど増税し、社会保障と公共事業を削っている。つまり、「小さい政府」「大きい政府」の景気悪化対策だけをしている、という表現があり非常にわかりやすい。
また、アイスランドは、費用対効果の低い銀行への税投入を絞って、効果の高い医療と教育に投資して復活している。これ見習うだけでも非常に良い税金の使い方ができると思う。
2060年 未来創造の白地図
最新テクノロジーを解説するために、現存するベンチャーを分野別に片っ端から説明した本。
著者がベンチャーキャピタルをやっていることもあり、技術的な部分はさらっと紹介して、企業名を押し出している。まとめ方もかなり大雑把であり、情報もあまりまとまってない。というか投資用の情報なので、まとめる必要がないのだろう。テクノロジーに興味がある人は、別の書籍を選んだほうが良い。
バズる書き方
元マイクロソフト日本法人社長の成毛眞の書いた「ネット時代の文章術」に関する本。
ネットで読みやすい文章には、字下げがないことや、短い文章で書くことなど、特殊な法則がある。これを地道に解説したのが本書である。
ネット文章は、短文であることが特徴である。そのため、1つの段落を100字以内にして空白行を入れることで読みやすくなる。また、SNSでは要約の一行から始めることで読みやすくなる。
そして特に気をつけるのが「わかりやすさ」である。ネットでは誤読による誹謗中傷が多く起きているので、とにかくわかりやすい文章をつくる必要がある。そのためには、一度見返して誤読しないかチェックする習慣を身に着けるのが良い。結局は見返しがクオリティを上げるのは、文章なら何でも同じなのである。
ただ、気をつけたいのが「自分らしい文章」を無くさないことである。修正を繰り返して、教科書や論文のような堅い文章になっても面白くない。良い塩梅で修正を抑えるのもひとつのテクニックなのである。
考える技術・書く技術
文章はこの流れで書くと読みやすいよー、というテンプレートを紹介してくれる本。
起承転結を意識してストーリー調に書こうねーとか、大枠から説明して小さい要素に進もうねーとかを説明してくれる。
意識はしてないがたしかに大事だなぁと思うことがまとめられているので、一回読んでおくと基本が身につくと思う。図が多いのも良い。
おわりに
とにかく圧倒的に独学大全が良かったです。BEST1といっても過言ではないくらい。学習系の本や自己啓発系の本は世の中にたくさんあり、良い本も多いです。でもここまで包括的に学べる本はないと思います。分厚いけど中身は読みやすいので、ぜひチャレンジしてみてください。
あとは「AI分析でわかった~」もかなり面白かったです。デキる人は、そこらの本に書いてある当たり前のことをやっているだけであり、それがわかっただけでもやる気がでます。できない人は会社のルールに囚われているので、その違いを知っておくと社会人としての立ち振舞いかたが変わるんじゃないでしょうか?
もし実用書を読む習慣がない人は、勝間和代の本をおすすめします。一人暮らしだと家事は必須スキルですし、これが効率化されるだけで人生はかなりイージーになります。勝間和代の家事に関する本は読みやすいしおすすめです。
読んでよかった技術書に関しても書いてあるので、そちらも読んでいただけると幸いです。こちらも1位はずば抜けてよかったです。こういう感動があるから読書はやめられねえ。