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サピエンス全史 【5分でわかる超ざっくり解説】

今回は、ひと昔有名になったサピエンス全史についてざっくり解説します。

最近の書籍ではサピエンス全史の引用が結構多く、ざっくりとでも理解しておくと非常に役に立ちます。

また、一般的な「嘘が人類を進化させた」という一言ではサピエンス全史の一部しか切り取っておらず、全体像が見えません。

ここでは、ざっくりしつつも全体像が見えるような形で解説していきたいと思います。

ホモ・サピエンスとネアンデルタール人

昔、ホモ・サピエンスネアンデルタール人がいて、なぜかホモ・サピエンスだけが生き残りました。これはなぜでしょうか。

ここでは一度ホモ・サピエンスの特徴についてみていきましょう。

サピエンスとは、賢いという意味です。自分のことを賢いというおこがましさはありますが、実際のところ今は最も賢い動物と言っても過言ではありません。

それは脳の大きさによるものです。

ただ、脳は大きければ生存に有利というわけではありません。大きな脳は大きな頭蓋骨も必要ですし、人間の脳は体重の2%に対してエネルギーの25%を消費するため、非常に燃費も悪いです。

これは、単純に考えるとサバンナでは不利であり、生存に悪影響です。

ただし、脳の大きさについてはホモ・サピエンスとネアンデルタール人で大きな違いはありませんでした。つまり、別の影響によりネアンデルタール人が淘汰されたと思われます。

次に考えられるのが、直立歩行です。

手を使えることにより様々な難しい作業が出来るようになりました。火や道具を使えるのも、直立歩行による影響は大きいでしょう。

ただ、直立歩行は手を使えますが、腰痛と肩こりに困る原因となりました。

さらに、直立歩行により産道も狭くなり小さい赤子を生む方が母の生存が高まり未熟な状態で子供が生まれることになりました。

認知革命

その結果起きたのが、集団形成です。赤ちゃんが未熟であるため、集団で子供を育てる必要がありました。

ここで大きく異なるのは、ネアンデルタール人も二足歩行だったにも関わらず、集団の大きさが異なったことです。

本書でホモ・サピエンスとネアンデルタール人の決定的な違いとして挙げられたのが「集団で仮想的なものを信じられるか」です。この能力により、ホモ・サピエンスは大きな集団を形成することができました。

集団で仮想的なものを信じる能力は、150人以上の組織を作る上で必須の能力です。

他の生き物でも嘘はつけますが、嘘を全員で信じ続けることはありません

特に重要なのが宗教です。ホモ・サピエンスは、事実や裏付けがなくても信じることができているのが大きな特徴です。

まとめると、ホモ・サピエンスはあいまいなものを信じることで集団を形成し、少数集団であったネアンデルタール人を淘汰するに至ったのです。

農業革命

次に人類に起こったのは、狩猟採集民から農民への移行でした。

現代では狩猟採集民と農民を比べると、狩猟採集民時代のほうが健康で余暇も多かったと言われていますが、なぜこのような変化が起こったのでしょうか?

まず、大きな要因は小麦です。

人類は、小麦により不健康だが長寿である環境を手に入れることができました

死なないということは非常に重要であるため、不健康であることよりも長く生きることに重きが置かれました

ただし、農業による悪影響は多大なものでした。余暇も減り、天候に脆弱で、備蓄が可能になることで上下関係のある社会となりました。

悪影響はこれだけではありません。

狩猟採集民だと一度にたくさんの赤ちゃんを育てることはできないため、数年おきに赤ちゃんを育てていました。しかし、農耕民であれば1歳でおかゆを食べさせられたので、母乳に全て頼る必要がなくなり、人口が爆発的に増えました

ただし、おかゆも万能ではありません。おかゆにより免疫力が下がり、死亡率は高く、人数過多による間引きも発生してしまう結果となりました。

つまり、大人も子供も十分に栄養が行き渡らないために栄養失調が増え、さらには人口増加で食物も足りない状態となったのです。

そんなときに農耕民がとる解決策は、もっと時間を使って生産活動をすることです。ただし、頑張って余剰を増やそうとすると時間が拘束され、もう狩猟採集民に戻る余裕はなくなっていました

人類の文化は逆戻りしません

狩猟採集民のほうが健康的で余暇が多いからといって、増えた人口をもとに戻すようなことは起こらないのです。

お金によるネットワークの拡大

確信のないものを信じられるのがホモ・サピエンスの大きな強みであり、その結果発展してきました。しかし、時代とともに事実をもとにした考え方も台頭してきました。それが科学革命です。

まず科学革命の発端には、お金の存在があります。

人類の確信のないものを信じられる能力は、貨幣経済をも可能にしました。みんなが信じることで紙が価値を持ったのです。

これはつまり、他国で金に価値があれば、貿易商がその価値に気づき、用途がわからなくてもみんなが価値を信じることになります。

貨幣は見ず知らずの人をも信用できる道具になります。貨幣があることで、さらに大きなネットワークをつくることができるようになりました。

そこで着目されるようになったのが科学技術です。

科学革命

大きな集団は多様な役割を生み、科学技術の発展が進みました。

科学技術がもたらしたものは、確固たる信心でした。信仰と違い、頑張れば必ず前に進むため、徐々に科学技術に注目が集まるのは時間の問題でした。

ただ、科学技術はリターンが多いものが優先されるため、興味があるものが追求されるわけではなくリターンに依存して文化が進むことになります。

そのため、動物や植物の観察よりも軍事技術が自ずと優先される。

科学革命は、人類を豊かにしただけでなく、「知らないことがある」ということを理解することに意味がありました。

それまでの時代では地図が隅々まで書かれていましたが、科学革命が進むごとに空白が出来ていきました。

アメリカ大陸を発見したコロンブスも「知らないことはない」前提で進めていたために、アメリカ大陸をインドと勘違いする結果となりました。一方で、時代とともに科学的な考え方が進み、アメリカ大陸という未知の大陸を認めることとなったのです。

信仰では言い伝えが重要視されていたので文化は止まっていたのに対して、科学技術は年々積み上がっていきます。

つまり、科学革命により、人類は年々進歩していくことになります。

資本主義

科学技術により浸透し始めた考え方が、将来に価値が増大するというものです。

将来に価値が増大すると信じることが、資本主義を形成させました。

中世ヨーロッパの貴族は、生産は一定であると考えたため、利益は消費に費やしました。しかし、商人からブルジョアになった人達は再投資を行い、経済発展を加速させました

また、経済学の祖であるアダム・スミスは「国富論」で、利益を得た企業は人材などにさらに投資し、社会貢献につながると言いました。

このように、投資により科学技術が発展し、さらに資本を獲得するというループが起こりました。これにより、急速な文明発展は進むものの、富めるものが更に富む資本主義が生み出されたのです。

資本主義は国力にも大きく寄与します。スペインは個人の財産を認め、他国から雇い入れる形で傭兵を用いることで経済発展に注力しました。その結果、自国で軍を持つ国より発展しました

資本主義は格差も生みます。世界全体に資本主義が進むと、国同士で役割分担がなされます。これは、貧困国には選択肢が減ることを意味します。例えばコンゴではゴム産業や鉱山産業のため搾取が進み、貧困と格差を拡大する結果となりました。

そして、資本主義は資本家にしか世の中を動かせない仕組みを作り出しました。資本主義が発展しても、それが良い未来を生み出せるかはわかりません。

時代の流れは戻りません。農業革命と同じように資本主義ももとに戻ることはもうできない。

産業革命

産業革命は第二次農業革命とも言えます。家畜や農業が工業化により効率化したことで、急速に供給が増加しました。

それまでは供給不足で質素倹約に努めていた人類が、供給過多により消費主義となりました。必要に関わらず製品を買う社会となり、これが今の我々の社会です。そして、テレビの広告が一般的になり、消費と幸せが結びつきました

資本主義が成熟してくると、国民主義が始まります。市場が出来たことで村社会がなくなり、親の権利が弱まりました法律に全てが基づくことで女性の権利が生まれ、結婚も自分で決め、子どもの権利が生まれました

世の中の技術は軍事技術により先導されると言いますが、産業革命で兵器を高度化することで戦争が大量自殺と同等になっしまいました。これにより戦争をするデメリットが大きくなり、戦争をせずに国内経済を優先するほうが国が豊かになるようになりました。

そして経済発展のために国家間の交易が増加し、さらに技術が高度化しました。その結果、平和のループが発生し、戦争がなくなりました。

さて、ここまで技術が発展して現代に繋がるわけですが、これで良かったのでしょうか?

人間は幸せになったのでしょうか?

残念ながら、人間の幸福とは自分の特性によってもたらされるため、科学技術により幸福度は上がりませんでした。幸福は主観であり価値で決まります。そのため、子育てのように辛い作業が一見多くとも、自分の行動に価値があると知れば幸福となります。

小麦の奴隷から資本主義の奴隷となってきた人類の流れを見てきましたが、技術発展が必ず幸福になるとは限りません。結局のところ必要なスキルは自分に価値を感じてやりがいを持って生きることなのでしょう。

おわりに

今回はサピエンス全史について解説しました。

認知革命による集団形成から始まり、農耕革命、そして科学から軍事技術に至るまで、ざっと世界史を見た形になります。

一般的な世界史は権力者の歴史ですが、サピエンス全史は人類の歴史と言えます。サピエンス全史は参考文献の少なさから一部で批判の対象ともなっていますが、話の一貫性からも理解できる部分は多いはずです。

特に重要なのは、人類の発展は逆戻りしないことです。農耕の奴隷となってしまった人類は、狩猟採集民へと戻る選択をしませんでした。科学技術を手に入れた人類は、その力により科学推進を行いました。現代の資本主義という理念はもはや覆せません。たとえ環境問題があったとしても、いかに今の流れにそって解決していくかが重要となるでしょう。

サピエンス全史では過去を振り返る形でしたが、次回作のホモデウスでは未来を語るのがメインとなります。そちらも解説しています。