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21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考【5分で超ざっくり解説】

今回は、サピエンス全史、ホモデウスと続いてユヴァル・ノア・ハラリの著書である21Lessonsについて解説します。

サピエンス全史とホモデウスの解説は下記からどうぞ。

21Lessonsは、未来予想に関する書籍です。

サピエンス全史が歴史をたどる内容であり、ホモデウスが未来予想だったのに対し、本書はホモデウスを拡張するような内容です。

本書とホモデウスで違うところは、本書では具体的な提案をしているところです。ホモデウスでは、概ね悲観的な未来を見てきましたが、本書ではさらに立ち位置を明確化して、ネガティブな未来のみを扱います。そして、それに対する対処法を考えることで、最悪の未来を避けるというのが目的となっています。

良い未来を想像する技術者たちと、過去を知ったからこそ失敗を学んだ人類学者の両方の意見を合わせることで、正しい未来が見えてきます。

本書は悲観的な立場をとっていますが、これが正しい未来というわけではありません。技術者の意見と合わせて妥当な未来を想像する助けにしましょう。

資本主義とテクノロジーの目指す先

人類を大きく進歩させたのは資本主義といって差し支えはないでしょう。

資本主義は多くのことができるし、今後も最も世の中を改善する可能性が大きいです。ただし、資本主義にはリスクもあるため、本書では過去を分析してきた歴史学者の立場から警鐘が鳴らされています。

サピエンス全史の最後で述べられたこととして、「果たして我々は昔よりも幸せになったのか?」という問いが投げかけられました。

実際のところ、我々はテクノロジーで外部を変えることが出来ましたが、内部の心理的な状況や老化は変えられませんでした。

その結果が現代であり、傍から見たら裕福なのに心のなかでは満たされていないという状況が生まれているわけです。最近ではお金持ちがインフルエンサー化していたりしますが、資本主義の中でお金持ちであっても幸せになれない良い例でしょう。

科学と宗教

サピエンス全史では、嘘と架空の物語こそがサピエンスを団結させ、他の人類種を淘汰したことが説明されました。

しかし、嘘と架空の物語、つまり宗教は現代では力を失っています。その代わりを担ったのが科学です。

科学は間違いを認めて修正することが目指す方向だが、宗教はうまい言い訳を考えます。その結果として辻褄の合わなくなってきた宗教への信頼がなくなり、今は科学への信仰が進んでいるというわけです。

科学は資本主義を加速させる助けになりましたが、人々の団結を失わせる要因にもなり得たわけです。例えば、ナショナリズムも宗教も団結感を高めるのに役に立ってきました。団結することで集団をコントロールできるし、周囲の者が仲間だと感じることで安心して過ごすことができます。

現代でナショナリズムが強まっているのは、集団の結びつきを強めて安心感を持ちたいという意志とも言えるわけです。

嘘を活かす

資本主義下だから科学だけを信仰するのが正しいのかというと疑問が残ります。それで精神的な満足が得られなかったからです。

では一方で嘘を信じ続けるというのも問題です。宗教が持続していない現代では、嘘を信じ続けるのが難しいのは明らかです。

必要なのはバランスです。嘘も科学もどちらも必要なのです。

クリエイティブの多くは古い物語を参考にしているものも少なくありません。バランスをコントロールできる人間になって、世の中を改善しながら心的幸福を得るというのが目指す未来でしょう。

現代人は、非現実と現実のバランスでせめぎ合っています。非現実を信じすぎると、広告で使われるイメージに引きずられて健康的な生活を出来なくなります。一方で、人は虚構を好みます。ノンフィクションよりも刺激的な虚構を見せてくれる漫画やアニメ、映画が好まれます。

世の中の人々を動かすなら、科学者はSFで今後の世の中を伝えることも並行して行うべきでしょう。みんなに今後目指す未来をフィクションとして見せてあげることで、集団を動かすことができるようになります。

それはホモ・サピエンスが嘘で集団を作ったように、現代でも手法は変わらないのです。

幸福の場所

私達が幸福を得られない原因の一つに、心が物語に囚われることが挙げられます。外的な世界をコントロールしても、心はコントロールできなかったのです。

そこで、本書でユヴァル・ノア・ハラリが提唱する方法は瞑想です。瞑想にて自分の心の動きに注目するのです。瞑想により不安解消や自己コントロールの向上などが確認されてきており、科学もお墨付きのメンタルコントロールテクニックです。

瞑想で心をコントロールすることで私達は自由になり、自分で物事を選択できるようになるのです。

おわりに

本書では、資本主義と科学に警鐘を鳴らして、嘘を活かした幸福な未来を描きました。

変化の多い時代でクリエイティブが叫ばれていますが、フィクションはその助けになります。過去のフィクションを事実にするための科学は多数あり、ビジョンの共有には非常に便利です。

ホモ・サピエンスがフィクションで団結して天下を取ったように、今後も強力な集団形成には嘘が欠かせないというのがユヴァル・ノア・ハラリの意見です。

また、資本主義は生活を豊かにしましたが、私達を幸福にはしてくれませんでした。これから私達が目指す未来はホモデウスで述べたような不老不死の世の中ではありません。それよりも先に、「今」幸せになるべきでしょう。

日本の39歳以下の死亡率で最も多いのが自殺です。それほどまでに現在の心的ストレスは大きいのです。さらに、うつに対する治療もまだ完全に確立したものではなく、抗うつ薬もまだ効果に個人差が大きいです。

そんな難しいメンタルケアにおいて、手軽で強力な手段が瞑想であり、自分の心に向き合って自分なりの価値観を持てるようにするのです。自分なりの幸せを見つけたとき、人類の進化による恩恵よりももっと大きな幸福感を得ることができるでしょう

参考:21Lessons