「深く考える癖をつけろ」
社会人になると良く言われるセリフですが、わかっていても意外とできません。しかも出来ないから練習しようと思っても、どうやれば練習できるのかわからない。八方ふさがりです。
それを解決するために、今回私が紹介したいのが「批判的読書」です。
本を読み終わった後、こう感じることをないでしょうか?
「本を読んでも記憶に残らない」「結局何が言いたいのかわからない」
これらも批判的読書でまとめて解決でき、今後の読書も捗るはずです。
批判的読書
やり方は、普通の読書中に以下の4つを考えるだけです。
1.著者を簡単には信用しない
2.著者の狙いをつかむ
3.論理・根拠を追うこと
4.著者の前提を探り、疑うこと
この4つを意識するだけで、記憶にも残り、内容が頭の中で整理されやすくなります。それでは、各項の説明に参りましょう。
1.著者を簡単には信用しない
ここが最も大事な部分です。自分が選んで手に取った本を読むと、どうしても著者のことを盲信してしまいがちです。そこを我慢して、著者のことを疑いつつ読んでみましょう。
やり方は簡単です。自分の過去の経験や知識と照らし合わせて、本の内容と一致するかを確かめます。そして、異なる部分についてじっくり本を読みます。
これをやるだけで、本当に時間をかけて読むべき部分に時間をかけるようになります。そして、著者が間違ったことを言っているときも、自分の立場を持ちながら本を読み続けることができるようになるのです。これが、いわゆる「自分の意見を持つ」の正体です。
2.著者の狙いをつかむ
著者にも立場があります。例えば、大学の先生が著者の場合だと、その研究の良い面だけを積極的にアピールしていることがあります。共同研究などのしがらみもあるのでしょう。
しかし、著者の狙いをつかむことができれば、何かおかしなことが書いてあった時に反応しやすくなります。自分の知っていることと違うことが書かれていて、著者にとって利害関係のある内容だったときは注意深く見たほうが良い、ということです。
著者の狙いをつかむポイントは、読み始めが大事です。本を読み始める前に著者のプロフィールを確認しておくと、著者の立場が理解しやすくなるでしょう。
3.論理・根拠を追うこと
これは結構難しいです。疑わしい内容があったときは、前後の文章を確認して正しい論理が通っているかを確認しましょう、ということです。
例えば、論文を引用していても正しく引用されていなかったり、論理が飛躍して都合の良い結論になっていたりします。本を書く人も人間ですから、感情が入って論理が飛躍してしまうこともあります。それに気が付けるようになりましょう。論理の飛躍は、自分の思い込みで起きやすいです。つまり、論理の飛躍に気づくポイントとしては、著者の立場や経験を知っておくと良いと思います。
4.著者の前提を探り、疑うこと
3と被りますが、著者が前提として省いている部分がないか確認しましょう。その理由としては、著者の経験から気づかず取り除いていたり、都合の悪い事を隠している場合があります。これらのことは議論するうえで、そもそも選択肢に入っていないのでとても気が付きにくいです。
前提に気づくポイントとしては、著者から提示された選択肢は疑ってかかることをおすすめします。わかりやすくするために、2択や3択にするのは良く使われますが、本当にその選択肢が全てを網羅しているか?一度疑ってみてください。
海外では、批判的読書はクリティカルリーディングとも呼ばれ、学生にこのような読み方を推奨する大学もあります。若いうちから自分の立場を持って学ぶのは、海外らしい気がしますね。
おわりに
個人的な方法を紹介すると、数冊一つの分野の本を読んだ後に、このような批判的読書をしています。すると、他の本と立場の違う部分に気が付きやすくなって、理解が進みます。この方法は慣れると、本について人に紹介するときにも、大事な部分が伝えやすくなるのでおすすめですよ。ぜひ、やってみてください。
参考:知的複眼思考法 刈谷剛彦