2022年上期に読んだ17冊の技術書の中から、おすすめを紹介します。ぜひ本探しにお役立てください。
※技術書と言ってますが、テクノロジー関連の読み物も含みます。
2022年上半期読んで良かった技術書ベスト2
インフラエンジニアの教科書 1
1と2で構成されており、1ではハードウェアについて説明する。CPU、メモリ、HDD などについて詳細を説明してくれるので、まさにインフラエンジニアの教科書と言って過言ではない。
初心者にとって非常にわかりやすく、入門書として最適。ぜひ手元に置いておきたい本。
インフラエンジニアの教科書 2 スキルアップに効く技術と知識
2では通信とプロセスについて説明している。どちらも一般的に難解な説明が多いが、本書ではわかりやすい説明がなされている。
通信はOSI参照モデルとTCP/IPなどの最低限の基本知識を説明しており、ルータとスイッチについても説明している。
プロセスはスレッドやプロセス処理の手法について軽く触れており、メモリについても仮想メモリやスワップといった最低限の知識を紹介している。
あとはおまけ程度にセキュリティについても触れている。
その他読んだ本リスト
身近な疑問がスッキリわかる理系の知識
タイトルの通り雑学本。
例えば、ハイオクは「オクタン価96以上」つまり高圧下で発火しにくいがエネルギー密度が高い「イソオクタン」の割合が多いものを指す。そのため、ハイオク車にレギュラーを入れると予想外のタイミングで発火し「ノッキング」が起きる。
ディーゼルエンジンにガソリンを入れた時も深刻で、本来点火で発火すべきところを圧縮過程で発火してしまう危険がある。
カーリングはブラシでこするが、実はあれは細かい氷の粉を生成している。乾いた氷の上ではストーンは滑らないため、粒によって滑らせる。一方でアイススケートは強力な圧力がかかるため、氷が溶けて水になり滑る。
アフターデジタルセッションズ
DX界で著名な人達のインタビューまとめ。
体験をリッチにすることを目標としていて、そこにビジネスを組み込んでいく意見が多く、DXの本質を感じる。
デジタルはあくまで道具である。その道具に投資できるだけの「問題の本質」を見つけることこそが大事である。ただ、道具を知らなければ使えないので、予備知識のキャッチアップは継続的に行わなければならない。
NFTの教科書
業界人を対象に、NFTについて説明してもらった本。
読み終えても結局のところ胡散臭さは変わらない。市場としての可能性はあるが、モノが安くなりすぎて買うものがなくなった人の道楽に過ぎない。法整備も不十分なので、売る側が一攫千金を狙うならありだが、買う側としては参加しないほうが賢明と思う。
ただ、デジタルデータが価値を持ち始めるというメタバース的な考え方は同意で、今後もデジタルアーティストは増えてくると思う。絵師やモデラーが収益化できる場が出来たのは非常に喜ばしい。
サーバ/インフラエンジニアの基本がこれ1冊でしっかり身につく本
インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門-サーバシステムを支えるネットワークはこうしてできてい
新人エンジニアのためのインフラ入門(Think IT BOOKS)
試して理解Linuxのしくみ-実験と図解で学ぶOSとハードウェアの基礎知識-
インフラ設計のセオリー-要件定義から運用・保守まで全展開-
Linuxサーバ入門-CentOS 8対応 ITプロへの第一歩CUIの徹底攻略-(impress top gear)
Linux+コマンド入門-シェルとコマンドライン、基本の力-(WEB+DB PRESS plusシリーズ)
インフラ関係の本まとめ。ベスト本で挙げた「インフラエンジニアの教科書」が最もわかりやすく包括的に書かれている。ハードウェア、OS、通信、セキュリティなど最低限知りたい知識が含まれる。
もう少し難しいやつだと「Linuxサーバ入門-CentOS 8対応」は手元に置いておくと役に立ちそう。
流れのふしぎ
流体力学の入門書。流体力学の教科書に沿ったような実例が多く、勉強しながら見ると理論と応用が頭に残って良い。
流体工学のキホン
半分画像で説明してくれるので、流体力学の全体像を捉えるのに良い。
パソコンで見る流れの科学
語り口調で、差分法、有限体積法、粒子法、有限要素法、格子ボルツマン法について書かれた本。詳しく書かれてないが導入としては読みやすい。
最もよく使われる有限体積法の良さは、差分法に加えてセルの体積流量を扱うところにある。流量の誤差から圧力を修正することで安定性を増すことができる。一方で圧力は周囲に影響するので微調整に計算時間がかかる。
画像から学ぶ流体力学
実験の渦の画像を見ながら流れを理解する。基本的にグラファイト粉のような反射するものをトレーサとして入れて、シートレーザーで反射させる。実験的にもカルマン渦がレイノルズ数いくつで発生するのか確定してないという所は謎が残って面白い。あと、レイノルズ数が低いと渦が微小すぎて見えないというのも、実験と解析で両方起きている話で面白い。
やさしくわかる界面化学入門
水は他の水素化合物に比べて沸点が異常に高く、氷になると体積が増えるという珍しい挙動を見せる。これは、水分子が「極性結合」と呼ばれるわずかにプラスのHの部分とマイナスのOの部分が連結しているからである。多数連結した大きな分子のようになり、結晶構造である氷よりも密度が高くなるのである。
逆にこの特性により、水と水蒸気も極端に密度差が生まれる。沸騰すると一斉に極性結合が外れ始めるため、1650倍という極端な膨張となる。
あと、油と水で分かれるのは、各液体の分子間力よりも界面の分子間力が弱いからである。
おわりに
ベストと言っておきながら今回はたった2冊だけとなりました。
ただ、インフラエンジニアの教科書は非常に良かったので、また必要な時に読み返したいと思います。基本情報をしっかり固めておくと別の本を読むときに楽なので、こういった理解があいまいなものをしっかりと整理して伝えてくれる本はありがたいですね。
2021年読んでよかった本はこちら。