2022年下期に読んだ26冊の技術書・理系本の中から、おすすめを紹介します。ぜひ本探しにお役立てください。
今回はオーディオブックでも本をよむようになったので、一気に量が増えました。
上半期のおすすめ本は下記からどうぞ。
2022年上半期読んで良かった技術書・理系本ベスト3
良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門-保守しやすい成長し続けるコードの書き方-
クソコード動画で有名な著者が良いプログラムについて書いた本。
入門向けに書かれており、非常にわかりやすい。オブジェクト指向の基本的なルールや継承が非推奨であることなど、現在の常識を知るきっかけとなる。リファクタリング系の本は難しいものが多いので、これは入門者に非常におすすめ。
科学者たちが語る食欲
大規模な虫や人体実験からダイエットについて調べた本。
人間のカロリーはたんぱく質と炭水化物の摂取量で決まる。特に、たんぱく質が足りない人は食欲がおさまらず食べ続ける。
現代ではたんぱく質の少ない食事のほうが安いため手に取りやすく、しかも人間はたんぱく質を見分けることができない。
その結果、しょっぱくて旨味のあるスナック製品を手に取ることになり、カロリーが激増する。
食物繊維でも食欲や調味料の使用量が減るが、たんぱく質を求める人間は濃い味を求めるため、スナックに行きがち。
太る理由がわかりやすく説明された本。長いけどまとめるとすごく良い知見。
マンガ化学が驚異的によくわかる
化学を漫画調で説明してくれる。絵があるので非常にわかりやすい。結構深いところまできちんと説明してくれるので、オススメ。
その他読んだ本リスト
レガシーコードからの脱却
プログラミングの思想ガイド。内容は少し難しいが、言い回しは海外っぽくて面白い。特に下記の2つ。
開発者には3つの状態がある。「おわった」「始めてない」「ほとんど終わった」である。
拡張可能なように作られていないソフトウェアを拡張するのは、結び目だらけのロープに結び目を足すようなものである。
C++プライマー
C++の機能について包括的に書かれた本。ビャーネ・ストロヴストルップの書籍は読みにくいので、この本のほうが初心者にはわかりやすい。機能の分け方も読みやすくて良い。
情報はなぜビットなのか-知っておきたいコンピュータと情報処理の基礎知識-
PCの背景となる論理構造や2進数の知識がまとまっている。実用性があまりない部分をまとめていて切り口は斬新だが、結構他の本にも書いてある内容なので、わざわざ本書で読むほどのものではない。
新・明解C言語ポインタ完全攻略
C言語のポインタに関するまとめ本。入門向けなので、ダブルポインタなどは扱っていない。
オブジェクト指向のこころ-デザインパターンとともに学ぶ-(SOFTWARE PATTERNS SERIES)
C言語プログラミングのエッセンス 新版(SOFTBANK BOOKS)
リファクタリング-既存のコードを安全に改善する- 新装版
レガシーコード改善ガイド-保守開発のためのリファクタリング-(Object Oriented SELECTION)
レガシーコードからの脱却-ソフトウェアの寿命を延ばし価値を高める9つのプラクティス-
リファクタリング関連書籍。リファクタリングはデザインパターンに関する書籍が多く、難しい内容が多い。リーダブルコードなどの入門書を読んで、オブジェクト指向をマスターした後にデザインパターンに関する書籍を読まないと理解できないので、注意が必要である。
レガシーコードからの脱却はエンジニア心得的な話で、プリンシプルプログラミングに内容が近い。アジャイル関連の入門書を読んだあとなら結構内容がわかる。
これからIT業界で働くひとのための情報処理技術の基本
タイトル的には資格の話かと思うが、実はPCの初心者本。
ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなど網羅的に書かれているが、用語説明が甘いわりに専門用語が出てくるので、これで勉強するには少しきつい。知らない分野のあたりをつけるには少し役立つかも。
オードリータン デジタルとAIの未来を語る
デジタル化が進んだ台湾についての話。
台湾では若者が民主化を勝ち取ったので、若者が世の中を変えられると信じられている。また、政府も目安箱を設置し、誰でも意見が入れられる環境を整え、差別があったらすぐ対応するなどの行動をしてきた。
今後政治をやっていく上では、地方民を救うこと(通信環境を整えて学習環境を整備する等)が重要であり、そのためにもデジタルネイティブ世代の意見や助けを借りる必要がある。
メタバースとWeb3
メタバース関連の入門書。メタバースとはつまりVR関連の用語をまとめたものである。そして、メタバースのためには仮想世界内での経済が必要で、そのためにはWeb3.0の分散型システムが必要となる。
今はSNSのような個人の承認欲求でシステムが回っているが、今後は集団で何かを成し遂げる世界が当たり前になるだろう。
メタバース進化論
バーチャル美少女ねむが書いた、アンケート調査に基づくVR本。
メタバースの要件は、空間性、自己同一性、大規模同時接続性、創造性、経済性、アクセス性、没入性を含むものである。
つまり、お金がその中で循環していなければそれはゲームであり、没入感がなければSNSなどになる。メタバースは世界であり、まだ完成には程遠い。
メタバース さよならアトムの時代
有名なメタバースソフトウェアや定義について語った本。clusterの社長なのでclusterの話が多め。新規的な話はなく、メタバース進化論とほぼ内容は同じ。
世界2.0
お金2.0の人が書いた本。中身はほとんどなく、メタバースの入門書としてもかなり浅い部類に入る。
一般人と自分を比較して、いかに一般人が先見の明がないかを説いているが、本人の引用するデータが薄く、抽象論と薄い未来予想を長々と書いている。
書籍というよりエッセイのかき集め感がある。あと、途中のエコシステムに関する章は、お金2.0とほぼ同じ内容の使い回し。
成功=ヒト&DX
経営者の自伝本。テクニカルな知見としては、システムに関する知識は外注し、自社製造していない会社に見積もりを取ってもらうと良い。
世界一わかりやすいDX入門
DXというより、チームビルディングの話。コミュニケーションの手間を省いて、その余裕を活かせるチャレンジングな目標を設定することで、成果が得られるというもの。
IGPI流 DXのリアルノウハウ
DXはデジタル化の後に、何か付加価値をつけていく。これ系の本でよくある周りの反発は、ポスターを貼ることで慣れさせていく。
また、CTOのようなデジタルにただ詳しい人だけではツールの誤用になりかねない。財務(最低でもキャッシュフロー計算書を読める人)や現場に詳しい人をメンバーに入れ、決定権を持つ人が先導していく必要がある。現場の知識なしでDXは起きない。
エネルギーを巡る旅
エネルギーに関するいろいろな話まとめ。
まずは火が人類を進歩させた。火によって消化、二足歩行(木登り不要)、滅菌が出来るようになった。これが脳の発達に繋がった。
これが1つ目のエネルギー革命である。次が太陽光を食物生産のエネルギーとする農耕で、3つ目が石炭を動力にして、並進運動を回転運動にする蒸気機関である。
さらに効率化のため、蒸気機関は内燃機関へと切り替わり、内燃機関に適した鯨油(石油)への移行が進んだ。
また、太陽エネルギーをたくさん取れるトウモロコシや稲、小麦のような背の高い作物が大量生産された。現代でもサステイナブルの観点から太陽エネルギーは注目されており、いかに効率的に各手法を取り入れるかをコンピュータで分析することで最適なエネルギー源にたどり着けるだろう。
化学ぎらいをなくす本-化学再入門ー
ストーリー調で、暗記でこなしていた化学の理論背景について説明してくれる本。
例えば、なぜC2は分子として存在しないのか?という内容などを説明している。
地球上では大量の原子があるため、不安定な状態では分子は落ち着かない。そのためすぐにC2は別の原子に反応してしまう。つまり、宇宙空間など原子が極端に少ない場合は、地球上にある反応とは違う分子も存在しうる。つまり、化学反応とはあくまで平衡な状態を見ているというのが大事なのである。
高分子化学入門
絶対わかる高分子化学
絶対わかる化学の基礎知識
化学の基本書。絶対わかるシリーズはわかりやすくて良い。
おわりに
今回はリファクタリングに関する書籍が多かったです。
今後はyotubeのほうでもサイトでもリファクタリングに関するノウハウをまとめていきたいので、ぜひお待ち下さい。
過去の読んでよかった本リストは下記からどうぞ。