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原子間ポテンシャル【分子動力学】

分子動力学(MD)では、ポテンシャル力により原子間に作用する力を計算します。

ここでは代表的なポテンシャルモデルについて説明します。

レナード・ジョーンズポテンシャル(Lennard-Jones Potential)

レナード・ジョーンズポテンシャルでは、ポテンシャル$\phi$は下記で表されます。

$$ \phi(r) = \varepsilon ( (\frac{\sigma}{r})^{12} – 2(\frac{\sigma}{r})^6)$$

ここで、$\varepsilon$は結合エネルギー、$\sigma$は長さに関するパラメータ、$r$は原子間距離です。

第一項は斥力、第二項は引力を表しており、引力はファンデルワールス引力と呼ばれ、電子雲による遠距離の力です。

指数の6や12は計算のしやすさで決定されたという背景があります。

ボルン・メイヤー・ヒギンズポテンシャル(Born Mayer Higgins Potential)

ボルン・メイヤー・ヒギンスポテンシャルは、溶融塩やガラスに使われるポテンシャルを求める式です。

$$ \phi(r) = \frac{z_i z_j e^2}{r} + f (\frac{e^{r – \sigma_i – \sigma_j}}{b_i + b_j}) + \frac{C_4}{r^4} + \frac{C_5}{r^6} $$

第一項はクーロンポテンシャル、第二項は原子間の斥力、第三項は電気2重極、第四項は4重極ポテンシャルを表しています。

zはイオンの価数、eは電気素量、$\sigma$はイオン半径、bはイオンの堅さです。

モースポテンシャル(Morse Potential)

モースポテンシャルは、鉄のポテンシャルとして使われるポテンシャルを計算する式です。

$$ \phi(r) = \varepsilon [ e^{ -2 a (r – \sigma) } – 2 e^{-a (r – \sigma)} ] $$

ジョンソンポテンシャルというモデルも同様に、鉄の分子動力学に使われます。

おわりに

ここでは分子動力学で使われるポテンシャルモデルについて説明しました。

分子動力学では、どのポテンシャルモデルを使うかが最も重要であり、それが全てと言っても過言ではありません。

計算対象に適して、かつ精密なポテンシャルモデルを選択するようにしましょう。

他にも分子動力学について解説しているので、ぜひそちらも御覧ください。