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ファンデルワールス力【配向力・誘起力・分散力】

分子動力学では、粒子間の引力と斥力で何を考慮するかが非常に重要です。ここでは、その中でも特に重要なファンデルワールス力について紹介します。

非結合相互作用で代表的なものは、静電相互作用によるクーロン力ファンデルワールス力に分けられます。

クーロン力は電荷により引力と斥力である一方で、ファンデルワールス力は希ガスなどの双極子相互作用がない原子でも働きます。

ファンデルワールス力は、共有結合やイオン結合に比べると非常に弱い力であるため、温度によっては分子を維持できない場合もあります。

ファンデルワールス力の分類

ファンデルワールス力は、配向力と誘起力、分散力の3つに分けられます。どの力も根源的には電荷の影響を受けています。

配向力

中性の分子でも、構成原子によって分子内で電子分布が偏ります。これにより双極子モーメントが発生し、極性を持った分子となります。

例えば、水H2Oは2つのOH結合の双極子モーメントを持っており、その合成が分子の双極子モーメントとなります。

双極子モーメント動詞の相互作用は非常に弱いので、自由に移動できる分子の配向状態の影響を受けます。そのため、双極子モーメントの相互作用による力が配向力と呼ばれます。

誘起力

完全に無極性の分子でも、他の分子が近づくことで双極子が誘起されます。

このようにして双極子を持った分子と他の永久双極子との相互作用を誘起力といいます。

例えば、極性のH2Oに無極性のO2が近づくと、O2の電子雲が変形して双極子となります。

分散力

完全に無極性な分子でも、時間平均としては球対称の電子分布ですが、ある時刻で見ると電子分布のゆらぎができています。

瞬間的な電子分布の偏りにより瞬間双極子ができ、周りの分子に双極子を誘起します。この2つの相互作用を分散力といいます。

おわりに

今回はファンデルワールス力を3つの力に分けて説明しました。無極性でも電子分布や誘起により電荷の偏りができ、力が働きます。

ファンデルワールス力は有名ながらに仕組みが理解しにくい内容だと思うので、ぜひ今回の3つの力に分けて理解するようにしてください。

参考書籍:ベーシック物理学